映画『休暇』を観ました。
先週、久々に映画を観ようと思った。
今なにやってるんだっけ?
そういえばちょっと前に三谷幸喜がめっちゃテレビ出てて、
新作『マジックアワー』の宣伝してたっけ…。
んー…なんか違うなぁ。
いや、三谷作品は娯楽としてはいいんだよ。
でも今私が見たいのは三谷さんのじゃないな。
そう思って検索。
ホント、ネットって便利だ。
新作映画の情報を見ると「ああ、これ見たいなー」と思うものはいくつもあるのだが、
公開になる頃にはすっかり記憶の彼方となり、見逃す。
とりあえず、新宿で見ようと思ったので、新宿でやってる映画限定で検索して、
「あ、これ前に気になった映画だ!」というのを見つけた。
『休暇』
邦画である。
主演は小林薫。
もうこれだけで渋い。
共演しているのは西島秀俊、大塚寧々、大杉漣 他。
もう渋さは鉄板だ。
(詳しい内容は…HPで見てね^^;⇒『休暇』HP)
【以下、ネタバレあり。注意。】
小林薫演じる平井は刑務所の看守を勤める40男。
マジメだがそう面白みがあるとも言えず、当たり障りのない態度で同僚・上司とも接している。
大塚寧々演じる子連れの女性・美香との結婚を控えているが、タツヤという子は平井になかなかなつかない。
母の再婚に戸惑い、無言で反抗しているのがわかる。
西島秀俊が演じるのは平井が勤める刑務所に服役する死刑囚・金田。
罪状は強盗殺人か何かだったかな…その状況も動機もわからない。
それは必要ないから描かれていないのだろう。
死刑を不服とする上申書を提出することも諦め、模範囚として日々を淡々と送っている。
結婚式を土曜に控えた2日前、金田の刑が金曜に執行されることになった。
様々な係がある中で、誰もが避けたいと思う“支え”という役を志願すれば、翌週1週間特別休暇がもらえるという。
“支え”とはまさに字の如く。
受刑者の足下の床が抜け、体が落ち、絞首になる瞬間にその床下位置で受刑者の体が暴れないように支え押さえる役割だ。
死の片棒を担ぐような、そして死の瞬間を肉体で感じざるを得ない役割。
既に有休を使い切っていた平井は逡巡した挙句、“支え”役を買って出る。
上司に「そんなにしてまで休暇が欲しいか!」とどやされ胸倉をつかまれても、平井は沈黙のまま。
どうして“支え”役を志願したのか…それが休暇の為だとはわかるが、その理由は一切映画の中で語られない。
美香には「特別休暇がもらえた」とだけ伝えた。
刑の執行が決まる前から執行までの刑務所での日々と、美香との見合い、結婚式に向けての準備や結婚式当日、そして新婚旅行といういわば“プライベート”な日々が交互に綴られていく。
鮮やかな色味も出来事もなく、音楽も最小限。
その中で淡々と進んでいく日々。
誰も何も語らない。
自分の心の中を見せない。
だが確実に何かを抱えているのがわかる。漠然とだけど。
どうして平井が休暇を願い出たのか。
それはきっと『生きる』ため…いや、『活きる』ためだ。
美香と新しい人生を始めるため。新しい人生を生きるため。
そしてその為の仕事が人の『死』に手を貸すこと…。
正直、最初は平井が美香をどう思っているのか今ひとつわからない。
愛を語るわけでもなく、キスを交わすわけでもない。
でも互いがこれからの人生をこの人と生きようと決めたことはわかる。
そしてその大人の考えと相容れることなく無言の抵抗を続けるタツヤ。
新しい人生を始めるには相応の時間が…それも濃密な時間が必要なのだ。
金田は執行直前、慄き震える。
泣いたりわめいたりはしない。
聞こえるのは息遣いだけ。
彼が過去の罪を悔いているのかはわからないが、目前に迫った死を恐れ、その恐怖を抑えたくても抑えられない苦悶の表情に背筋が寒くなった。
生きることと死ぬこととは、かくも重く、壮絶なものなのか。
静かで厳しい。
それが命ってものなのか。
多くを語らない映画だ。
だが多くを考えてしまう映画だ。
きっと良くも悪くも日本の映画だ(笑)
この映画を観た2日後、奇しくも数件の死刑が執行された。
死刑の是非についてはここで語らないけれど、
刑の執行…ここではそれは『死』を意味するわけで、
それによって命を終えた本人だけでなく、そこに携わった人々にも多くの影を投げかけているのだろう。
施行が迫っている『裁判員制度』についても考えてしまう。
この映画…『休暇』を私は最後まで淡々と見た。
涙は一滴もこぼれなかった。
きっとそれでいいのだろう。
終わって映画館が立ち並ぶ歌舞伎町の広場に長蛇の列が2つできていた。
まもなく開場するというところらしい。
1つは水谷豊主演の『相棒』で、もう1つは『マジックアワー』だった。
どちらもマスコミで多く取り上げられている作品だし、きっと面白いのだろう。
でもね。
こんなにたくさんの映画が見られる東京で、雑誌やネットで夥しい数の情報を得られる状態で…ここに並んでる人たちのどれだけが「自分が本当に観たい」と思えるものを
きちんと“選択して”この列に並んでいるんだろう?と思ってしまった。
名作を見なさいとか、造詣深い作品を選びなさいと言うつもりはないけど。
その気になれば情報は手に入る。
それを手に入れず、検討もしないで決めるのはもったいない。
さて、次は何を観に行こうか。
あ、そうそう。
死刑囚・金田を演じた西島秀俊さんに今後注目したいと思いました。
(実はあんまりよく知らないので^^;)
いやぁ~ やっぱり映画っていいもんですね。
水野晴郎さんのご冥福も祈りつつ…。
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コメント
ネタバレってあったから最後の一行までぶっ飛ばしました(笑)。
いいですよね、西島さん。
半月ほど前だったでしょうか、ちょうど読んだところでした。
http://www.varietyjapan.com/pickup/vol08/index.html
投稿: も | 2008年6月24日 (火) 02:15
>も さん
どこまでを“ネタバレ”の範囲としたらいいかわからなかったんで^^;
もしこの映画に興味ある人なら、私の感想すら読んで欲しくないかな、と。
何の先入観もなく、観て、考えて欲しい作品です。
西島さんについては、名前と顔くらいは知ってたけど
それ以上が全く知らない状態で…
貼っていただいたリンクが実にありがたかったです!
ありがとー☆
投稿: ぺん | 2008年6月24日 (火) 07:49